3月9日の米国株はSVBファイナンシャル・グループという、みんな大好きなアメリカのハイテク都市であるシリコンバレーで成長企業を支援してきた銀行が取り付け騒ぎの危機に瀕しています。
流れは簡単に
- 2020年〜21年の新興企業バブルでSVBの預金が急増
- 銀行なので預金を運用する必要があり、MBSなど債券へ投資
- 2022年からのFRBによるインフレ対策の利上げでMBSで爆損
- メイン顧客の新興企業は2022年以降は急激な利上げで苦戦し預金減少
- 預金減少により債券等の投資先の売却=損失確定
- 損失が大きく、増資を発表
- →株価が1日で半値以下に
めっちゃ簡単にすると
低金利で新興企業ウハウハ!!!
→新興企業の預金増でSVBの預金が爆発的増加!!!
→→SVB「融資先ねぇわ!債券で運用しとくか!!!」
→→→SVB「利上げで債券紙くずだは!どうにかしねぇえと!!!」
→現在(損失+増資)
ということで、システム上のミスかと言うと、預金の増加に対して貸し出しが対応できず、運用チームが利上げに対してリスク管理ができていなかったというミスです。
結局、貸し出しも無理やり増やせばリスクなのでSVBは預金の増加で、2022年以降の破裂は見えていたようです。
SVBが破綻するようなことがあれば・・・
シリコンバレーでテクノロジー企業への理解が深い銀行で、シリコンバレーのイノベーションを推進するシステムの一部のような銀行でした。
米銀全体で見てもトップ20に入る規模の銀行であり、成長企業中心に顧客を持っていた銀行が崩れるのは市場にとってパニックです。
暗号通貨の銀行であるシルバーゲートもヤバい状況で、米テックへの大きな供給元が崩れるようなことがあれば、アメリカのスタートアップや成長企業は暗黒期に陥る可能性が高いです。
2022年から米スタートアップは「ゴキブリのように生き残れ!」の大号令で、SVBの預金が減少したように、資金調達が厳しい中で赤字を出しすぎないように生き残り優先となっており、資金調達の苦戦が結果としてSVBを苦しめる結果となっています。
FRBは対応できるか?
今回の問題はメガバンクと言われるような大手銀行から起きていないため、やや過小評価されている節があり、日本では報道が小さいです。
しかし、シリコンバレー!、暗号通貨!の銀行が危機にひんしている状況でFRBは対応できるか?が問題です。
大手銀行なら国有化で対応することもできますが、顧客が限定されている専門的な銀行のみを救済するのは厳しいと思っています。
このSVB事件は破綻という結末だとシリコンバレーのシステムに連鎖的な危機を与えるでしょうし、新興企業が貸し剥がしに耐えられるわけもないでしょう。
既に損失を一部確定させたことと、増資によって耐えようとしていますが、シンプルに対応するなら金利を下げる他ありません。
事実、SVB事件の3月9日はラッセル2000という中小型株指数は3%近く下落し、米国債の金利は低下しました。
米国はいくら金利を上げてもしぶとく強い経済でインフレが止まりませんが、米国を支えてきた新興企業の成長という最大の強みとなるシステムが一部マヒしだしており、私が警戒しているバブルの後に、隠れていた問題が顕在化するという事がFTXから連続して起きています。
SVBの救済はオペレーションだと思います。
既に厳しい新興企業やVCがSVBに預金を残すリスクは取れない。