投資家であり、一応は事業者なので資本主義とズブズブなフルツチです。
私は思想的には経済極右なのでアメリカの共和党でも民主党でも、経済成長が政策の前提にある国が羨ましく思っていて「資本主義が人類最高の発明である:グローバル化と自由市場が私たちを救う理由」はXで紹介されているのを見た瞬間に買ってしまいました。
資本主義の事実の羅列
金持ちがいなければ貧乏人はもっと貧しい→共産主義の成れの果て
トップ1%の富を再分配しても他の大多数は救えない→比率からして当然
資本主義で金儲けするには利他と協力→ビジネスは評判によって一発で飛ぶから独占以外は利他が前提、協力は企業や従業員などステークホルダーで必須なのは当然
資本主義以前の方が搾取も環境破壊も酷い→とはいえ生産拡大で環境破壊が増えているのは無視できない
資本主義はゼロサム(奪い合い)でなくプラスサム(全体ではプラス)→資本主義は経済成長が前提でゼロサムはありえない
帯の内容を個人的に解釈したり、一部反論を入れてみましたが全体として私が思っている資本主義として適しています。
資本主義は過去をぶっ壊す
イーロン・マスクが推薦していますが、大統領に決まったトランプは保護主義でこの本の中で出てくる失敗例に一部近い政策をしています。
この本における資本主義は自由市場とグローバリズムの拡大であり、日本でも反グローバリズムは色濃いのでAmazonでは反対のレビューが多いです。
ただ、自由市場とグローバリズムのアメリカに負け続けた日本人がこれに対して反論して、独自の幸福を追求したとしても古い時代で止まった日本は進んだ世界にぶっ壊されていっているのは明らかで、安い国=日本というのは壊れた日本の現在です。
放置すれば美味い物と人を漁りにいく国が日本というイメージになっていくでしょう。
資本主義が過去をぶっ壊す一例として、インドはカースト制度があります。
私は大学でインドのカースト制度やグローバル化の流れを学んだので本の内容はすっと入ってきましたが、グローバル化や資本主義によってITなど過去になかった産業に挑戦するインド人は成功すればカースト制度から外れることができます。
そして、成功したインド人が投資家として帰ることでインドはもっと豊かになっていくという形で、インドの内部の人たちを見てインドはダメだ!というのは間違っていて、成功しているインド人の数や資産規模が既に日本を上回っていることから、インドはこれからもっと成長すると見る方が自然になるわけです。
あとは本書内でも書かれていますが、暮らしが便利になる物はたいていの場合で過去の不便な物を超えることで豊かになっています。
成功者がいない国は終わっている
私は前の記事で前澤さんの新ビジネスをつまんないからやらないと書きましたが、ビジネスモデルや理念は好きですし、成功者として違う分野にどんどん挑戦するのは成功者としての姿勢を見せてくれていて良い人だと思っています。
アメリカは成功者がどんどん出てくる国ですが、日本と違うのは成功を若い段階で体験し、もっと挑戦していくからです。
イーロン・マスクで言えば、決済ビジネス→EV・宇宙→SNS→?と若い頃からビジネスを他業種に広げながら挑戦を続けています。
電気自動車でも、宇宙でも、ロボットでも、AIでも、共和党でもw
何でもイーロン・マスクが出てきますが、成功者が挑戦することで、その過程で次の若者の成功ストーリーへ繋がっていくのでトップから次世代のトップへ資金が動いていく過程は資本主義のダイナミズムを感じます。
資本主義では成功者が次の成功者を生んでいきます。
ZOZOは最終的にソフトバンク系列に売却されて前澤さんの今の資産がありますが、ここは孫正義から前澤友作へのバトンのようなものですね。
AIを大ブームにしたOpenAIは元はイーロン・マスクが共同立ち上げしていますし、資本で言えばマイクロソフトが兆円単位で入れているので成功者が絡みまくっています。
成功者は次の時代への挑戦を必ずやってくるので、アメリカはGAFAMなどに代表されるビッグテックがクラウド、AI、宇宙、エネルギー、自動運転などにリソースを割いて競争していることで常に強力なビジネスが出てきますし、ビッグテックがひしめく中で新しい会社が注目されているからと中身を見ても必ず有名企業の資本が入っています。
本のおすすめポイント
脱線していましたが、この本は帯にありますが4章がおすすめポイントで日本人には耳が痛い内容が多いです。
日本でもよく名前が出てくるピケティのまちがいという項や、縁故資本主義または金持ち向けの社会主義という例として日本ではないが我が国を名指ししたような項、日本に多いとされるゾンビ企業の項などが4章にある。
資本主義やグローバリズムを肯定する本だが、ゾンビ企業や破綻企業にはちゃんと厳しく書いており、例えばアメリカでもやりがたちだが破綻企業を救ってはいけないという項では、銀行などの金融機関がどうせ政府が助けてくれるとリスクを取り続けるのは問題だと本書内で指摘しており、私は投資家なので金融は国が救わないと酷いことになるから初動で救うべきと考えているのとは真逆のことが書いてある。
私はそこまでグローバル化やグローバリズムが好きではないので相容れない内容も多々ありましたが、グローバリズムと資本主義という本国の思想を見るには良い本だと思っていて、これで成功している人たちがいることは否定できないので理解のために読んでおくといいのかなと思います。